生活保護の受給条件や申請方法、金額について解説!

生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するためのセーフティーネットです。厚生労働省は「生活保護の申請は国民の権利」としており、生活に困窮している場合は、ためらわずに相談するように訴えています。

ただし、生活保護の受給には条件があり、誰でももらえるというわけではないため、「そもそも生活保護とはどんな制度なのか知りたい」「生活保護を受給できる条件がわからない」といった声が上がっています。

そこで本記事では、生活保護制度とはどんなものなのか、受給条件や申請方法などを解説します。生活保護制度の目的や受給するメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

これを読めば、生活保護がどんな制度なのか理解でき、自分に必要な支援を受けるためのヒントが得られますよ。

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目次

生活保護とは?わかりやすく簡単に解説

まず、生活保護とはどんな制度なのか理解しましょう。

生活保護の目的

生活保護の目的とは?

生活保護制度の目的は、生活に困窮する人に対して必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することです。

生活保護の申請は国民の権利であり、生活保護が必要になる可能性は誰にでもあります。生活に困窮している場合は、ためらわずに自治体・福祉事務所まで相談しましょう。

生活保護を受給するメリット

生活保護を受給するメリットを紹介します。

必要最低限の生活費を確保できる

必要最低限の生活が確保される

生活保護を受給すれば、必要最低限の生活費を確保できます。食費や家賃など生きていくうえで必要不可欠なお金を用意できていなかった場合でも、生活保護を受給することで住む場所と食べるものを確保することはできるでしょう。

一部の税金や保険料の支払いが免除される

非課税世帯になり一部の税金が免除される

生活保護を受給している間は非課税世帯となるため、一部の税金や保険料の支払いが免除されます。

例えば、収入に応じて発生する所得税と、住んでいる地域ごとに設定されている住民税は免除対象です。生活保護を受給すると持ち家や車といった資産を持てなくなりますが、例外的に所有が認められるケースもあります。この場合に発生する固定資産税や軽自動車税も免除対象です。

また、20〜60歳の成人に義務付けられている国民年金保険料の支払いも免除されます。保険料を支払っていないため国民年金保険の資格を喪失しますが、生活保護でも医療費は原則無料です。

免除されるものの例

  • 所得税・住民税
  • 国民年金保険料
  • 固定資産税・軽自動車税

医療費・介護費・教育費などの支払いが免除される

医療費や介護費、教育費などが免除される

生活保護を受給すると、医療費・介護費・教育費の支払いが実質免除されます。生活保護には、生活費に充てる生活扶助の他に、医療扶助・介護扶助・教育扶助など用途別に必要な扶助を受けることが可能です。

生活保護を受給するデメリット

基本的に、セーフティネットである生活保護の受給にデメリットはありません。ただ、生活保護を申請したことが親族に知られたり、収入・貯蓄・住む場所などが制限される点には注意が必要です。

家族や親戚に生活保護を申請したことが知られる

身内に扶養照会される

生活保護を申請すると、家族や親族による支援が得られないかどうか確認する扶養照会という確認作業が行われます。扶養照会は、原則3親等までの親族に申請者との同居や金銭的支援ができないか書面で連絡する作業です。結果として、3親等までの親族には生活保護を申請した事実が知られてしまいます。

所有できる資産・貯蓄が制限される

資産や貯蓄が制限される

生活保護の受給中は、原則資産や貯蓄は持てません。使っていない家や土地、車やバイクなどの資産は売却して生活費に充てるように指導される可能性が高い点には注意してください。生活保護受給後も、高価なものを所有できません。詳しくは「生活保護中に持てないもの」をチェックしてください。
生活保護申請時の貯金額は、国の定める最低生活費あたりが上限です。最低生活費は、居住地域・世帯人数・年齢などによって異なります。60〜64歳の1人世帯を想定した場合、居住地域別の最低生活費目安は、以下の表のとおりです。

居住地域 ① 生活扶助(円) ② 住宅扶助(円) ①+② 最低生活費(円)
東京都23区 1級地-1 76,880 53,700 130,580
福岡県福岡市 1級地-2 74,310 36,000 110,310
北海道函館市 2級地-1 72,430 30,000 102,430
広島県三原市 2級地-2 71,460 35,000 106,460
埼玉県飯能市 3級地-1 70,080 40,900 107,080
香川県さぬき市 3級地-2 67,740 32,000 99,740

同じ1級地-1でも、都道府県によって住宅扶助の設定金額が違う点には要注意です。実際に認められる貯金額は、その地域の福祉事務所によって異なる場合があります。詳しくは、住んでいる地域の福祉事務所に問い合わせてみてください。

住む場所が家賃によって制限される

住む場所によって住居の家賃が制限される

生活保護の受給中は、家賃分の住宅扶助が支給されます。住宅扶助は居住地域ごとに基準額が決まっており、受給者はその基準額内の家賃の家にしか住むことができません。東京都で単身の場合の住宅扶助基準額は以下の表のとおりです。

区分 基準額(円)
1級地(23区・立川市・八王子市など) 53,700
2級地(羽村市・あきる野市など) 45,000
3級地(西多摩郡 日の出町・八丈待ちなど) 40,900

生活保護の受給条件

生活保護の受給にはいくつか条件があります。受給条件に当てはまっているか確認してみましょう。

月の世帯収入が最低生活費を下回っている

最低限の生活費を下回っている場合

最も重視される受給条件は、月の世帯収入が最低生活費を下回っていることです。最低生活費とは、健康で文化的な最低限度の生活に必要な生活費のことで、生活保護制度はこれを保障するために存在します。

最低生活費は、同居している家族の年齢・世帯人数・居住地域によって異なります。最低生活費の計算方法は以下のとおりです。

最低生活費=生活扶助+住宅扶助+教育扶助+介護扶助+医療扶助

生活扶助と住宅扶助の基準額は、年齢・居住地域によって異なります。居住地域は1級地-1〜3級地-2まで6段階に別れており、その地域での生活に必要な額で基準額が定められているため、確認しておきましょう。級地区分は厚生労働省の公式サイトで確認できます。

その他各扶助の内容と基準額は、「生活保護の8つの扶助」で解説するのでチェックしてください。また、自分の最低生活費がどの程度かは、厚生労働省の公式サイト「最低生活費の算出方法」を参考に計算可能です。計算した最低生活費を収入が下回っていれば、生活保護を受給できる可能性があります

家族や親族からの援助が受けられない

親族からの援助が受けられない

生活保護よりも家族・親族からの支援が優先されます。したがって、生活保護を受けられるのは、家族や親族からの援助が受けられないと判断された世帯です。仮に、家族や親族が遠方に住んでいたとしても、同居したり仕送りをもらったりできる場合は生活保護を受給できません。

生活保護を申請すると、三親等(曾祖父母・おじ・おば・甥・姪)までを対象に「申請者を扶養できないか」の書面調査が行われます。仮に援助するという親族がいれば、生活保護は受給できません。援助を断られたり回答がなかったりした場合は、「親族からの援助は受けられない」と判断されます。

病気やケガなどで働けない

怪我や病気で働けない場合

病気やケガなど何らかの原因で働けない人も、生活保護の対象です。うつ病などの精神疾患も対象ですが、自己申告だけでは認めてもらえない可能性もあるため病院での診断書を用意しておきましょう。日々の症状を記録した日記や、ケガの状態そのものをケースワーカーに見てもらうのも方法のひとつです。

65歳以上の場合、働けるかどうかは基準から除外されます。また、働いていたとしても、収入が最低生活費を下回っていれば受給対象です。

預貯金や土地などの資産を保有していない

十分な貯金や土地など資産を保有していない

十分な貯金があると生活保護の受給はできません。持っていてもよい預貯金の目安は、最低生活費の半額以下です。

土地などの資産を持っていると、売却して生活費に充てられると判断され、生活保護を受給できないケースがあります。持ち家・車・PC・スマホなど、場合によっては所有が許可されるものについては、「生活保護受給中に持てるもの・持てないもの」で解説するのでチェックしてみてください。

公的融資制度を利用したことがある人

公的融資制度を利用したことがある

生活保護以外にも、困窮者の救済を目的とした、国から生活費を借りられる公的融資制度が存在します。生活保護の受給できるのは、公的融資制度を利用した(利用を検討した)がそれでも困窮状態が解消しなかった世帯です。まずは、公的融資制度が利用できないか検討してみるのもよいでしょう。

公的融資制度の例
公的融資制度名 対象者 申請・相談先
生活福祉資金貸付制度 生活困窮世帯 福祉事務所
求職者支援資金融資 ハローワークでの職業訓練を受講中の人 ハローワーク
母子父子寡婦福祉資金貸付金 20歳未満の子を持つひとり親 福祉事務所

公的融資制度も生活保護と同じように福祉事務所で相談できるものがあります。よくわからないときは、福祉事務所に問い合わせてみてください。

生活保護の8つの扶助

生活保護は8つの扶助で構成されています。それぞれの扶助の使い道や基準額を把握しておきましょう。

生活扶助

生活扶助とは?

生活扶助は、食費・被服費・光熱費など日常生活に必要な費用に充てるための扶助です。生活保護の扶助の中では最も使い道の自由度が高い扶助だといえます。

食費などの個人的費用(第1類)と光熱水費などの世帯共通費用(第2類)を合算して算出されます。居住地域・年齢・世帯人数によって金額が異なるのも特徴です。障害者がいる世帯・母子世帯・児童を養育する世帯には一定額が加算されます。具体的な計算条件は、こちらで確認してください。

住宅扶助

住宅扶助とは?

住宅扶助は、マンション・アパートなどの家賃に充てるための扶助です。生活保護受給中は原則持ち家を所有できないため、多くの場合は住宅扶助を受けながら賃貸物件に住むことになります。

住宅扶助は基準額が決まっており、その範囲内で支払っている家賃分が支給されます。基準額は居住地域ごとに異なるため、居住地域が何級地に該当するのかこちらで確認しておきましょう。

例えば、同じ東京都内で一人暮らしの場合でも、何級地に分類されているかによって基準額が異なります。基準額は都心ほど高く、地方ほど低いのが一般的です。

住宅扶助の基準額の例(東京都・単身の場合)
区分 基準額(円)
1級地(23区・立川市・八王子市など) 53,700
2級地(羽村市・あきる野市など) 45,000
3級地(西多摩郡 日の出町・八丈待ちなど) 40,900

生活保護を受給する場合、住宅扶助の基準額内で支払える家賃の賃貸物件にのみ住むことができます

教育扶助

教育扶助とは?

教育扶助は、義務教育を受けるために必要な学用品費用に充てるための扶助です。なお、高校生には、高等学校等就学費が支給されます。教材費・クラブ活動費・入学金(高校生の場合)などの実費も計上可能です。対象の子どもがいる世帯にのみ支給されます。

教育扶助の基準額

  • 小学生:2,600円
  • 中学生:5,100円
  • 高校生:5,300円

医療扶助

医療扶助とは?

医療扶助は、医療サービスを受けるための費用に充てる扶助です。現金ではなく、福祉事務所から医療券や調剤券が支給されます。これらを使うことで、指定された医療機関を無料で利用可能です。医療扶助の内訳には治療材料費というものもあり、眼鏡や歩行用の杖などの購入費用も支給される場合があります。

介護扶助

介護扶助とは?

介護扶助は、要介護認定を受けた40歳以上の受給者が介護サービスを利用する費用に充てるための扶助です。

通常、介護保険サービスの利用費のうち7〜9割が介護保険で負担され、残りの1〜3割が自己負担となります。しかし、生活保護受給者は自己負担分の1〜3割を介護扶助で賄うことが可能です。生活保護世帯も介護保険料の支払い義務はありますが、支払いには生活保護費が充てられるため、実質無料で介護を受けられます。

出産扶助

出産扶助とは?

出産扶助は、受給者が出産する際の分娩費用・産後の入院費用に充てるための扶助です。病院で出産する場合は入院助産制度で出産費用が支給されるため、出産扶助は入院助産制度分では足りなかった費用のみ支給されます。自宅や指定の助産施設以外で出産した場合も、出産扶助を費用に充てることが可能です。

出産扶助の基準額は、出産に要する費用として311,000円以内です。やむを得ない理由で出産予定の施設での分娩が難しくなった場合は363,000円以内が特別基準として設定されます。衛生材料費(おむつ代など)が必要な場合は、6,100円以内の額の支給を受けることも可能です。

生業扶助

生業扶助とは?

生業扶助は、就労に必要な技能の修得などにかかる費用に充てる扶助です。仕事に就いて自立するまでの過程を支援するものなので、スーツなどの購入費にも使えます。ちなみに、前述の高等学校等就学費は、厳密には生業扶助に分類される扶助です。

生業扶助として支給される技能習得費の基準額は、89,000円以内です。また、スーツの購入費などに充てられる就職支度費は34,000円以内と定められています。

葬祭扶助

葬祭扶助とは?

葬祭扶助は、受給者が葬儀を執り行う場合に支給される扶助です。受給者に身寄りがないときは、受給者自身が死亡したときの葬儀費用にも適用されます。葬祭扶助は居住地によっても金額が異なり、基準額は以下の表のとおりです。

居住地区分 大人 小人
1級地・2級地 215,000円以内 172,000円以内
3級地 188,100円以内 150,500円以内

生活保護支給額の計算方法

生活保護支給額の計算方法は?

生活保護支給額の目安は、厚生労働省の「最低生活費の算出方法」を参考に計算できます。生活保護の支給額は、計算した最低生活費から収入(年金を含む)を差し引いた額が目安です。

最低生活費は、以下の式で求められます。

最低生活費=生活扶助+特例加算+生活扶助本体における経過的加算+住宅扶助+その他受給条件を満たす扶助

生活費全般に充てる生活扶助と、家賃に充てる住宅扶助はほとんどの場合支給される扶助です。これに加えて、子どもがいる家庭には教育扶助、要介護者がいる家庭には介護扶助など必要な扶助が加算されます。

特例加算は1人あたり月額1,000円です。生活扶助本体における経過的加算の額は、居住地域・世帯人数・年齢によって300〜4,000円ほどの額が設定されています。

生活保護の申請方法

生活保護の申請方法を解説します。生活保護の申請手順は以下のとおりです。

生活保護を受給するまでの流れ

  • 申請に必要な書類をできるだけ準備する
  • 福祉事務所に事前に相談する
  • 福祉事務所で生活保護を申請する
  • 受給に必要な調査を受ける
  • 生活保護を受給する

申請に必要な書類をできるだけ準備する

必要書類を揃える

生活保護の申請には、いくつかの書類提出が必要です。生活保護申請書や各種申告書などは福祉事務所に置いてあるため、福祉事務所に行ったときに記入すればよいでしょう。一方、申請書・申告書の記入や申請に必要な以下の書類などは、事前に用意しておくと手続きがスムーズです。

事前に用意しておくとよいもの

  • 賃貸借契約書
  • 通帳
  • 印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)
  • 給与明細など収入がわかるもの

なお、事前に用意できない場合は無理に揃える必要はありません。用意できるものだけを持参して、福祉事務所に相談に行きましょう。

福祉事務所に事前に相談する

福祉事務所に受給したい旨を相談する

住んでいる地域の福祉事務所(生活相談などの窓口)に行き、生活保護を受給したい旨を相談しましょう。担当者が経済状況や就労状況などについてヒアリングを行い、生活保護が必要かどうかを判断します。生活保護が必要だと判断されたら、その場で申請書などを記入して申請が可能です。

なお、住む場所がなくても生活保護の申請は可能です。現在いる場所から近い福祉事務所に相談に行きましょう。

各都道府県の福祉事務所は厚生労働省の公式サイトで確認できるため、最寄りの福祉事務所の場所を確認しておきましょう。窓口の受付時間は福祉事務所によって異なりますが、平日の8:30〜17:30前後としている場合が一般的です。

福祉事務所で生活保護を申請する

福祉事務所に生活保護申請する

福祉事務所で生活保護の受給を申請します。生活保護申請書や、資産・収入などの申告書を記入して提出しましょう。福祉事務所内で記入できるので、わからない場合は担当者に質問しながら記入してください。

受給に必要な調査を受ける

受給条件に必要な調査が入る

申請が完了すると、生活保護の受給条件を満たしているかの調査が始まります。

まず、申請から1週間以内を目安にケースワーカーによる家庭訪問を受けましょう。ケースワーカーとは、生活に困っている人を支援するのが仕事の公務員のことです。家庭訪問では、住居の状態や世帯人数、売却できる資産がないかどうかなどがチェックされます。

家庭訪問と同時に、扶養調査も実施されます。住民票や戸籍謄本から親族を調査し、援助を受けられる可能性がないか調べるのが扶養調査です。さらに、金融機関などの残高照会により、預貯金や借入金がないかどうかも確認されます。

生活保護を受給する

受給スタート

生活保護を受給できるかどうかの結果は、申請から14日以内を目安に通知されます。自宅に届く保護決定通知書または保護却下通知書を確認しましょう。

無事に生活保護を受けられる場合は、保護決定通知書が届きます。通知書には、保護が決定した理由や支給額などが記載されているためチェックしておきましょう。初回は生活保護の受給が決まった日に手渡し
での支給です。その後は、直近の支給日から口座振込での生活保護の支給がはじまります。

支給が開始した後も、毎月ケースワーカーに収入を報告するなどの義務が発生します。何をしたらよいのかは、担当のケースワーカーの指示に従ってください。

生活保護受給中に持てるもの・持てないもの

生活保護受給中には、持っていいものと持ってはいけないものがあります。持ってはいけないものを保有していると指導が入り、最悪の場合支給額の減額や支給停止のリスクもあるため注意してください。

生活保護受給中に持てるもの

生活保護でも持てるもの

生活保護受給中でも持てるのは、「資産ではないもの」か「資産だが生活に必要なもの」です。具体的に持てるものの例には、以下のようなものがあります。

  • 家電・家具・衣類など
  • ローン完済した持ち家
  • 公共交通機関がない地域における車
  • スマホやPC

まず、家電・家具・衣類など生活に必要なものは所有できます。ただし、あまりにも高価なものは不要な資産とみなされる可能性があるため要注意です。持ち家の場合も、ローンを完済していればそのまま住み続けられます。車がないと生活ができない地域では、車の所有も可能です。

スマホやPCも、生活や仕事に欠かせない必需品として所有が認められます。ただし、2台目以降は指導が入る可能性もあるため、それぞれ1台までにしておくのが無難です。

生活保護受給中に持てないもの

生活保護では持てないもの

生活保護受給中に持てない代表的なものは、以下のとおりです。

  • 一定額以上の預貯金
  • 不要な車・バイク
  • 住んでいない不動産
  • 有価証券(株など)
  • 貯蓄型保険
  • 高価なもの(ブランド品など)
  • 2台目以降のスマホ・PC

一定額以上の預貯金は「生活に余裕がある」と判断される可能性があるため注意が必要です。とはいえ、支給金の貯金は認められており、家電や大学資金などまとまったお金が必要なケースもあるでしょう。認められる貯金額は自治体や事情によって異なるため、ケースワーカーに相談してみてください。

生活保護受給中は、車・バイクの所有は認められないケースがほとんどです。しかし、公共交通機関が少ない地域やケガなどで車がないと移動できない場合は、例外として車の所有が認められます。とはいえ高級車の所有はできません。維持費が安い軽自動車であれば、認められる可能性が高いでしょう。

住んでいない不動産の所有はできません。住んでいてもローン返済中だと、生活保護をローン返済に充てられないため、所有が認められないケースがほとんどです。ただし、ローン残債が少ない場合や毎月の返済額が少ない場合、賃貸に住むよりも安く済むと判断されれば所有が認められる可能性もあります。

株などの有価証券や貯蓄型の保険、その他高級品も資産とみなされるため所有できません。生活必需品であるスマホやPCも、2台目以降は許可されないケースがあるため注意してください。

生活保護受給中の注意事項

生活保護受給中はいくつかの注意事項があります。ルール違反をすると、支給額の減額や支給停止のリスクもあるため、事前にチェックしておきましょう。

ケースワーカーの指導には従う

ケースワーカーとの相談

生活保護受給中は、定期的にケースワーカーと話す機会があり、就職に向けた活動や生活習慣などに関するさまざまなアドバイスがあります。ケースワーカーのアドバイスは真摯に受け止め、社会復帰を目指しましょう

ケースワーカーの指示や指導に従わない場合、支給額が減ったり支給が停止されたりするリスクがあります。収入や生活状況についてはしっかり報告し、困っていることは相談するなどして、お互いに誤解の生まれない関係を作ることが大切です。

生活保護を借金・ローンの返済に充てない

借金やローンの返済には充てない

生活保護で支給されたお金は、借金やローンの返済に充ててはいけません。生活保護受給中も借金は禁止されていませんが、返済が困難になる確率が高いため避けた方が無難です。借金やローンの返済で困っている場合は、債務整理を検討しましょう。

高価なものや資産を所有しない

高額資産は所有しない

ブランドバッグや高級時計など、高価なものは所有できません。ケースワーカーに隠れて所有していると指導を受ける可能性もあるため注意してください。

生活保護の受給に関するよくある質問

生活保護の受給に関するよくある質問とその回答を照会します。

保護を受ける人の義務にはどのようなものがある?

生活保護受給者はどんな義務がある?

生活保護の受給中は、生活上の義務・指示等に従う義務・届出の義務の3つを負います。

生活上の義務では、生活の改善や就労、扶助の正しい活用などが定められています。生活の無駄をなくし、可能な限り働いて自立を目指しましょう。これに関して、ケースワーカーから指示・指導があった場合、それに従うというのが指示等に従う義務です。

届出の義務では、収入や生活に関して以下のような届出・報告が義務付けられています

  • 収入の増減があったとき
  • 臨時収入があったとき
  • 収入申告書の提出(働いている人は毎月、無職の場合は3か月に1度)
  • 就職・転職・退職したとき
  • 住所・家賃・地代・世帯人数が変わったとき
  • 入院・退院するとき
  • 資産申告書(年1回)

生活保護は月にいくらもらえる?

生活保護はどのくらいもらえる?

生活保護が月にいくらもらえるかは、居住地域・年齢・世帯人数によって異なります。厚生労働省の「最低生活費の算出方法」で計算できる最低生活費から、収入(年金を含む)を差し引いた額が支給額の目安です。詳細な金額は、福祉事務所に相談してみてください。

年金受給中も生活保護を申請できる?

年金受給中でも生活保護は受給できる?

年金受給中も生活保護は申請・受給できます。最低生活費から年金受給額を差し引いた額が、生活保護の支給額です。ただし、最低生活費を年金受給額が上回っている場合は、生活保護を受けられません。

生活保護受給中もスマホは持てる?

生活保護でもスマホは持てる?

生活保護受給中でもスマホは持てます。スマホは生活や仕事に欠かせない必需品とみなされるためです。ただ、生活保護を受給する経済状況では、スマホを契約する際の審査に通らないケースもあるでしょう。

生活保護受給中にスマホを持つ方法については、以下の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

▶生活保護受給中に携帯を持つ方法を解説!契約の注意点や審査に通らない場合の対処法も紹介

住所がなくても生活保護を受給できる?

住所不定でも生活保護は受給できる?

生活保護は住む場所がない人でも受給できます。今いる場所から近い福祉施設に行って、生活保護を受けたい旨を相談してみてください。

生活保護を受けられないのはどんな人?

生活保護を受けられない人は?

受給条件を満たしていない人は、生活保護を受けられません。例えば以下のような人は、生活保護の審査に通らない可能性が高いでしょう。

  • 収入が最低生活費を上回っている
  • 家族や親族からの援助が受けられる
  • 公的融資制度の利用で生活が改善できる見込みがある
  • 働いて十分な収入を得られると判断できる
  • 生活費に充てられる資産を保有している
  • 福祉事務所の調査に非協力的である

受給条件を確認したうえで、福祉事務所に相談してみてください。

受け取った保護費を返還しなければならないことはある?

一度受け取った保護費を返還する必要はある?

原則として生活保護をもらいすぎた場合は返還が必要です。資産の売却や新しく始めた仕事の収入などで得たお金を申告していなかった場合、もらいすぎた分の返還が求められます。不正な方法で生活保護を受給すると罰せられるリスクもあるため要注意です。

生活保護の審査に落ちたら場合はどうすればいい?

生活保護に落ちた場合は?

生活保護の審査に落ちたときに届く保護却下通知書には、保護が見送られた理由が記載されています。落ちた理由を改善して再度申請すれば、生活保護を受給できる可能性もあるでしょう。基本的には何度でも申請できるので、受給条件を満たしたら再申請してみてください。

生活保護以外の支援制度は?

生活保護以外の支援制度はある?

生活に困窮しているときに利用できる生活保護以外の支援制度の代表的なものは、公的融資制度です。具体的には、以下のような制度が利用できる可能性があります。

公的融資制度の例
公的融資制度名 対象者 申請・相談先
生活福祉資金貸付制度 生活困窮世帯 福祉事務所
求職者支援資金融資 ハローワークでの職業訓練を受講中の人 ハローワーク
母子父子寡婦福祉資金貸付金 20歳未満の子を持つひとり親 福祉事務所

その他の支援制度も含めて、福祉事務所で教えてもらえるものがいくつかあります。生活に困ったら、自治体の相談窓口や福祉事務所に相談してみましょう。

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