生活保護と障害年金は、条件を満たせば両方同時に受給できます。障害年金だけでは生活が厳しいという場合には、生活保護と併用することで最低限の生活費を確保可能です。
とはいえ、生活保護と障害年金はどちらにも受給条件があり、障害年金の額によっては生活保護費が少なくなってしまうため、「どうすれば生活保護と障害年金を併用できるのかわからない」「本当に併用すべきなのか知りたい」といった声が上がっています。
そこで本記事では、生活保護と障害年金の受給条件と支給額を紹介した後、両方同時に受給するメリットや注意点などを解説します。どちらか一方しか受給できないとしたら、生活保護・障害年金のどちらが得なのかにも触れるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
これを読めば、生活保護と障害年金を同時に受給する方法が理解できますよ。
目次
生活保護と障害年金は同時に受給できる
生活保護と障害年金は、両方を同時に受給できます。生活保護においては障害年金も収入の一部として計算されるため、国が定める最低生活費から障害年金額を引いた金額が生活保護支給額です。一般的に、障害年金よりも最低生活費の方が金額が大きいため、両方を同時に受給できるでしょう。
生活保護と障害年金の違い
生活保護と障害年金のそれぞれの受給条件や支給額を確認し、両者の違いを理解しておきましょう。
生活保護とは?
生活保護とは、生活に困窮する人に対して必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的とした制度です。
生活保護が必要となる可能性は誰にでもあり、生活保護の申請は国民の権利です。生活に困窮している場合は、ためらわずに自治体・福祉事務所まで相談するように推奨されています。
生活保護の受給条件
生活保護の受給条件には、以下のようなものがあります。
生活保護の受給条件
- 月の世帯収入が最低生活費を下回っている
- 家族や親族からの援助が受けられない
- 病気やケガなどで働けない
- 預貯金や土地などの資産を保有していない
- 公的融資制度を利用したことがある人
まず、国が定める最低生活費を月の世帯収入が下回っているかどうかが受給の条件です。最低生活費は、居住地域・世帯人数・年齢などによって異なります。自分の世帯の最低生活費がいくらなのか知りたい場合は、以下の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
生活保護を申請すると、三親等(曾祖父母・おじ・おば・甥・姪)までを対象に「申請者を扶養できないか」の書面調査が行われます。仮に援助するという親族がいれば、生活保護は受給できません。援助を断られたり回答がなかったりした場合は、「親族からの援助は受けられない」と判断されます。
病気やケガなど何らかの原因で働けない人も、生活保護の対象です。うつ病などの精神疾患も対象ですが、自己申告だけでは認めてもらえない可能性もあるため病院での診断書を用意しておきましょう。日々の症状を記録した日記や、ケガの状態そのものをケースワーカーに見てもらうのも方法のひとつです。
十分な貯金があると生活保護の受給はできません。持っていてもよい預貯金の目安は、最低生活費の半額以下です。土地などの資産を持っていると、売却して生活費に充てられると判断され、生活保護を受給できないケースがあります。
生活保護以外にも、困窮者の救済を目的とした、国から生活費を借りられる公的融資制度が存在します。生活保護の受給できるのは、公的融資制度を利用した(利用を検討した)がそれでも困窮状態が解消しなかった世帯です。まずは、公的融資制度が利用できないか検討してみるのもよいでしょう。
生活保護の支給額
生活保護には以下の8つの扶助があります。最低生活費の概算金額は「生活扶助+住宅扶助+その他の該当する扶助」によって計算可能です。収入がある場合は、ここから収入分の金額を差し引いた額が生活保護費の金額となります。
生活保護の8つの扶助 | ||
---|---|---|
扶助 | 用途 | 基準額例 |
生活扶助 | 食費や光熱費などの生活費全般 | 居住地域・世帯人数・年齢による |
住宅扶助 | 家賃や地代 | 居住地域・世帯人数による |
教育扶助 | 義務教育を受けさせるために必要な学用品費用 |
|
医療扶助 | 医療サービスを受けるための費用 |
|
介護扶助 | 要介護認定を受けた受給者の介護サービス利用費 | 介護サービス利用費 |
出産扶助 | 分娩費用や産後の入院費用 |
|
生業扶助 | 就労に必要な技能の習得などにかかる費用 |
|
葬祭扶助 | 受給者が執り行う葬儀費用 |
|
例えば、60〜64歳の単身世帯を想定した場合の最低生活費は、以下の表のようになります。収入がある場合、以下の最低生活費から収入分を引いたものが生活保護の支給額目安です。
居住地域 | 生活扶助(円) | 住宅扶助(円) | 最低生活費(円) | |
---|---|---|---|---|
東京都23区 | 1級地-1 | 76,880 | 53,700 | 130,580 |
福岡県福岡市 | 1級地-2 | 74,310 | 36,000 | 110,310 |
北海道函館市 | 2級地-1 | 72,430 | 30,000 | 102,430 |
広島県三原市 | 2級地-2 | 71,460 | 35,000 | 106,460 |
埼玉県飯能市 | 3級地-1 | 70,080 | 40,900 | 107,080 |
香川県さぬき市 | 3級地-2 | 67,740 | 32,000 | 99,740 |
生活保護支給額の詳しい計算方法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
障害年金とは?
障害年金とは、病気やケガで日常生活や仕事などが制限されているときに受給できる年金です。年金といっても高齢者だけでなく、原則20〜65歳までの人が請求できます。障害年金の受給に障害者手帳は必要ありません。
障害年金の支給条件
障害年金の受給には、初診日要件・保険料納付要件・障害状態該当要件の3つの要件があります。3つすべての要件を満たしていれば、障害年金を受給可能です。
- 初診日要件:初診日に年金制度に加入している(60歳以上65歳未満を除く)
- 保険料納付要件:初診日の前日に、保険料の納付済期間や免除期間などが一定以上ある
- 障害状態該当要件:障害の程度が一定の基準に該当している
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、対象となる人が異なる点には注意が必要です。どちらが対象になるかは、初診日(病気やケガで医師の診療を最初に受けた日)の状態によって左右されます。
障害年金の種類 | |
---|---|
種類 | 対象 |
障害基礎年金 |
|
障害厚生年金 | 初診日が厚生年金加入中の人 |
さらに、障害年金には、障害の程度によって等級が設定されています。障害基礎年金には1級・2級、障害厚生年金には1級・2級・3級があります。
障害年金の等級 | |
---|---|
等級 | 障害の状態の目安 |
1級 | 他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害 |
2級 | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害 |
3級 | 働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態 |
障害年金の支給額
障害年金の支給額は、障害基礎年金と障害厚生年金とで異なり、障害の程度・配偶者や子どもの有無によっても違います。
障害基礎年金の1級・2級の年間支給額は以下の表のとおりです。
障害基礎年金の年間支給額 | |
---|---|
障害基礎年金の等級 | 年間支給額 |
1級 | 993,750円 |
2級 | 795,000円 |
18歳到達年度の末日までの間にある子か、1級・2級の障害状態にある20歳未満の子がいる場合は、一定額が加算されます。加算額は、2人までは228,700円/人、3人目以降は76,200円/人です。
障害厚生年金の支給額は、以下の式で計算されます。
障害厚生年金の支給額計算式 | |
---|---|
障害厚生年金の等級 | 支給額の計算式 |
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額 |
2級 | 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額 |
3級 | 報酬比例の年金額 |
障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額×2(支給は1回のみ) |
「報酬比例の年金額」は、年金を納めていた期間と額によって違うため、人によって異なります。一般的に、会社勤めの期間が長く給与が高かった人ほど支給額は高めです。また、1級・2級の場合は、障害のある人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、「配偶者の加給年金額」として234,800円が加算されます。
また、傷病が治ったあとでも労働に制限がかかる場合は、一時金として障害者手当金が支給されます。障害者手当金は一時金なので、受給できるのは一回だけです。
生活保護の受給中でも障害年金を申請すべき理由
生活保護の受給中でも、障害年金は申請した方がよいでしょう。その理由を2つ紹介します。
障害年金は収入の制限がない
障害年金は、生活保護と違って収入が一定額以上あっても打ち切られることはありません。また、生活保護費のように使い道の制限もないため、障害年金をもらっている方が自由に色々なことができます。
仕事をして自立を目指したいときにも、生活保護と障害年金を併用しつつ、将来的に生活保護を廃止するという流れがおすすめです。障害年金には生活保護と違って資産の保有や貯蓄の制限はないため、生活保護を廃止して自立すれば、車や持ち家を持つこともできるようになります。
生活保護の障害者加算が適用される場合がある
障害の状態によっては、生活保護における障害者加算を申請できる場合があります。障害者加算の適用を申請できるのは、以下の2つのうちどちらかの条件を満たしているケースです。
- ① 障害等級表の1級もしくは2級または国民年金法施行令別表に定める1級のいずれかに該当する障害のある者
- ② 障害等級表の3級または国民年金法施行令別表に定める2級のいずれかに該当する障害のある者
障害年金の申請時に、1級または2級に認定された場合は①、3級に認定された場合が②に該当します。①②のどちらに該当するか、加えて住んでいる地域が何級地に該当するかによって障害者加算額は異なります。具体的な金額は以下のとおりです。
障害者加算の金額 | ||
---|---|---|
級地区分 | 該当ケース | 障害者加算の金額 |
1級地 | ① | 26,810円 |
1級地 | ② | 17,870円 |
2級地 | ① | 24,940円 |
2級地 | ② | 16,620円 |
3級地 | ① | 22,310円 |
3級地 | ② | 14,870円 |
住んでいる地域が何級地にあたるのかは、厚生労働省の級地区分でチェックしてみてください。
生活保護と障害年金を同時に受給するときの注意点
生活保護と障害年金を同時に受給するときの注意点を紹介します。
障害年金と収入の合計が最低生活費を超えると生活保護は受給できない
生活保護の受給中、障害年金は収入と見なされます。そのため、障害年金を含む収入総額が最低生活費を超えると、生活保護の支給は停止される点には注意が必要です。
ただ、収入が増えて生活保護の支給がなくなっても、障害年金はそのまま受け取れます。生活保護がなくなるからといって収入を抑えるのではなく、障害年金と仕事の収入だけで生活できるようにした方が、自立した制限のない生活ができるでしょう。
住んでいる地域・世帯人数・年齢などに応じた最低生活費の計算方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
障害年金を遡及請求すると生活保護の返還が求められる場合がある
障害年金には、過去5年分までの障害年金を受け取れる「遡及請求」という方法があります。遡及請求が認められると、過去に受け取るはずだった障害年金を初回にまとめて受け取ることが可能です。
この場合に受け取った過去分の障害年金も収入と見なされ、過去に受給した生活保護費の一部の返還を請求される可能性があります。まずはケースワーカーに相談し、返還請求があるかどうか確認しておきましょう。
生活保護と障害年金はどちらが得?
生活保護と障害年金は両方同時に受給できます。どちらが得かというよりは、生活に困窮しているなら両方の受給を検討してください。
最低生活費や障害年金の支給額などの条件によって、どちらか一方しか受給できないのであれば、障害年金の方が得だといえます。収入や貯蓄、資産の保有などが制限され、生活状況を定期的にケースワーカーに報告する義務がある生活保護に対して、障害年金は特に制限なしで受給可能です。
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