

奨学金の保証人は、借り手が奨学金を返済できなくなった際、代わりに返済義務を負います。このとき、保証人が奨学金を返済できないと、さまざまなリスクがあるため注意が必要です。
そのため、奨学金の保証人を頼まれた人や、すでに保証人になっている人のなかには、「奨学金の保証人もブラックリストに載る?」「保証人になるリスクは?」と不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、奨学金の保証人がブラックリストに載るリスクについて解説します。奨学金の返済がどうしても難しいときの対処法にも触れるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
奨学金の保証人・連帯保証人の違い


奨学金制度では、返済を確実にするために「保証人」または「連帯保証人」が必要になるケースがあります。
保証人は、借り手が返済不能になった場合に代わりに返済する義務を負いますが、原則として借り手本人に請求が行われた後に責任を負う立場です。一方、連帯保証人は借り手と同等の立場で責任を負う点が主な違いです。また、保証人には以下の3つの抗弁権(反論・主張できる権利)が認められているものの、連帯保証人には適用されない点も理解しておきましょう。
- 催告の抗弁権:債権者から保証人に支払い請求があった場合、「まずは債務者本人に請求すべき」と主張できる
- 検索の抗弁権:債権者は、まず返済能力のある本人の財産から差し押さえるべきだと主張できる
- 分別の利益:複数の保証人がいる場合、保証人の負担額は均等に分割できる
この違いにより、連帯保証人は保証人に比べて大きなリスクを抱えることになるといえるでしょう。
保証人は「補助的な立場」、連帯保証人は「本人と同等の責任を負う立場」と覚えておくとわかりやすいでしょう。そのため、奨学金を利用する際には、親族や家族が連帯保証人を引き受けるケースが一般的です。
奨学金の保証人はブラックリストに載る?保証人になるリスク


奨学金の保証人になるだけでブラックリストに載ることはありません。ここでは、奨学金の保証人になるリスクについて解説します。
なお、奨学金の延滞から保証人に返済義務が移るまでの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。必要に応じてチェックしてみてください。
奨学金滞納時に返済義務を負う


借りた本人が返済を滞納すると、その責任は保証人や連帯保証人に移ります。保証人に請求が届く段階では、すでに滞納が数か月以上続いているケースが一般的です。そのため保証人には、まとまった金額を一度に支払わなければならないリスクがあります。
返済できなかった場合はブラックリストに載る


保証人が返済義務を果たせなかった場合、延滞情報が信用情報機関に登録され、ブラックリスト入りとなります。ブラックリストに載るとローン契約やクレジットカード作成ができなくなり、日常生活に大きな制約がかかるため要注意です。
差し押さえを受ける可能性がある


保証人や連帯保証人が返済を怠れば、裁判を経て給与や預金が差し押さえられるリスクもあります。とくに連帯保証人は本人と同等に返済義務を負うため、資産への強制執行の対象になりやすい点に注意が必要です。
奨学金の返済が難しいときの対処法
奨学金の返済が難しいときの主な対処法を4つ紹介します。
返還期限猶予制度を活用する


返還期限猶予制度は、一定期間返済を猶予してもらえる制度です。失業や病気、災害などによって収入が激減した場合や、他の理由で一時的に返済が難しくなったときに活用できます。猶予期間中は元金および利息の返済が免除されるため、一時的に経済的な負担を軽くすることが可能です。
申請には、収入証明書や住民票、申請書などの書類が必要になります。審査を通過すると、最長で1年単位の猶予が認められ、状況に応じて延長申請も可能です。早めに申請することで、延滞金の発生や信用情報の登録を回避できます。
返還期限猶予制度についての詳しい情報はこちら
減額返還制度を活用する


減額返還制度は、毎月の返済額を通常よりも少ない金額に抑え、無理のない範囲で返済を継続できるようにする制度です。たとえば、標準返還額の2分の1または3分の1に減額され、返済期間を延長する形で対応されます。こちらも収入が一定基準以下である場合に利用できます。
対象となる年収上限は、年間収入金額400万円以下(年間所得金額300万円以下)です。本人が扶養している子どもの人数が2人の場合は年間収入金額500万円以下(年間所得金額400万円以下)、3人以上の場合は年間収入金額600万円以下(年間所得金額500万円以下)となっており、育児中の負担も軽減できます。
申請には所得証明書や申請理由書が必要で、審査結果により返済額が決まります。少額でも安定的な返済を続けたい場合に適した制度です。
分割返済を申請する


滞納が進んでしまった場合でも、一括請求を分割に切り替えられるケースがあります。交渉が必要ですが、誠実に対応すれば分割払いが認められる可能性があり、返済を続けられる現実的な方法の1つです。保証人として一括請求を受けた場合にも、まずは分割払いにできないか相談してみましょう。
債務整理を活用する


どうしても返済が困難な場合には、弁護士を通じて債務整理を検討することができます。ただし注意が必要なのは、借り手本人が債務整理をした場合、保証人に返済義務がそのまま移ってしまう点です。そのため、本人だけでなく保証人も一緒に債務整理を検討し、生活再建のための最適な方法を選びましょう。
奨学金の保証人以外にブラックリストに載る原因
奨学金の保証人以外にブラックリストに載る主な原因を5つ紹介します。
借金・ローンの支払い遅延や滞納


借金やカードローン、住宅ローンなどを長期間滞納すると、信用情報機関に「延滞情報」として記録されます。延滞が61日以上続いた場合や、3か月以上滞納した場合には「異動情報」として登録され、これが事実上のブラックリスト入りした状態です。
携帯電話端末などの分割払いの遅れや滞納


スマートフォン端末代の分割払いは、クレジット契約やローン契約と同じ扱いです。そのため、端末代の支払いが滞ると信用情報に延滞記録が残り、ブラックリスト入りの原因となります。
債務整理の利用


任意整理や個人再生、自己破産といった債務整理を行った場合、信用情報機関には必ず「債務整理の記録」が残る点には要注意です。返済が正常に行えなかった証拠とされ、5〜10年の間はブラックリスト状態となります。
債務整理でブラックリストに載る期間については、以下の記事で詳しく解説しています。債務整理の種類別に具体的な期間を確認したい場合は、ぜひ参考にしてみてください。
未完済の債務に対する過払い金請求


過払い金請求自体は合法であり、借金をすべて完済してからの請求であればブラックリストに載ることはありません。しかし、借金が残っている状態で過払い金請求を行うと、その残債について債務整理扱いとなり、信用情報に「異動情報」として記録されます。
短期間に複数のローンを申し込む


短期間に多数のローンやクレジットカードを申し込むと、信用情報には「申込履歴」が短期間に集中して残ります。これ自体が延滞や債務整理ではなくても、金融機関からは「資金繰りに困っている」「返済余力がない」と見なされ、審査で不利になる場合があるため要注意です。
ブラックリストに載ると難しくなること
ブラックリスト入りした状態になると、借入やローン契約などさまざまな制限を受けます。ここでは、ブラックリスト入りすると難しくなることを4つ紹介します。
借入やローン契約


ブラックリストに登録されると、新たな借金やローン契約がほぼできなくなります。自動車ローンや教育ローン、住宅ローンなど大口の借入はもちろん、少額のキャッシングも認められないケースがほとんどです。
クレジットカードの作成・更新


ブラックリスト入りした状態では新規のクレジットカードの発行は困難です。また、現在利用しているカードの更新や限度額増枠も拒否されることがあります。クレジットカードの利用制限は、生活の利便性を大きく損なう要因となるため要注意です。
たとえば格安SIMなどは支払い方法にクレジットカードを求められるケースがあり、ブラックリスト入りすると契約が難しくなる場合もあるでしょう。以下の記事では、クレジットカードがなくても契約できる格安SIMについて解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
携帯電話端末などの分割購入


端末代金の分割払いは、信用情報の審査対象です。ブラックリストに載っていると分割契約が通らず、スマホや携帯電話、PCなどの分割購入ができない可能性があります。一括払いでの購入を求められるケースもあるため要注意です。
携帯電話購入時の分割審査については、以下の記事で詳しく解説しています。携帯電話の分割審査に落ちて困っている場合は、あわせて参考にしてみてください。
賃貸契約


多くの賃貸物件では保証会社の審査が行われます。ブラック状態では保証会社の審査に落ちる可能性が高く、結果として物件を借りられなくなることがあります。遅延情報が記録されている程度であれば保証人を立てることで契約できる可能性もありますが、ブラックだと保証人を立てても契約は難しいのが一般的です。
保証人になること


ブラックリストに載っている人は、奨学金を含む他人の借入や契約の保証人になることができません。金融機関は保証人の信用情報も必ず確認するため、ブラックリスト状態では承認が得られないケースがほとんどです。家族や友人から頼まれても、信用情報に傷があると保証人にはなれないため注意してください。
奨学金の保証人とブラックリストに関するよくある質問
奨学金の保証人とブラックリストに関するよくある質問とその回答を紹介します。
ブラックリストに載っている人は奨学金の保証人になれる?


信用情報に傷がある、いわゆるブラックリスト状態の人は、基本的に奨学金の保証人にはなれません。保証人は「返済能力があること」が前提条件であり、金融機関や日本学生支援機構も信用情報を重視します。そのため、ブラックリストに登録されている時点で「支払い能力に不安がある」と判断される可能性が高く、保証人の適格性を満たせないケースがほとんどです。
親がブラックリスト入りしていても奨学金は借りられる?


親がブラックリスト入りしている場合でも、奨学金を借りること自体は可能です。ただし、保証人に親を立てることは難しいでしょう。
その場合は「人的保証(親族を保証人に立てる方式)」ではなく、「機関保証(保証会社に保証料を支払い契約する方式)」を利用するのが現実的です。機関保証を選べば、親がブラックリスト状態であっても奨学金の借入は進められます。
奨学金の保証人を立てられないときの対処法は?


保証人を立てられない場合は、「機関保証制度」を利用するのが有効です。保証料を毎月の返還額に上乗せする必要がありますが、保証人を探す負担から解放され、親や親族の信用情報に左右されずに奨学金を利用できます。
奨学金の保証人のブラックリストは消せる?


保証人として返済義務を負い、滞納によってブラックリスト入りしてしまった場合でも、一定期間が経過すれば記録は消えます。ただし、個人の都合でブラックリストを消すことはできません。通常は5年〜10年が目安ですが、債務整理の有無や金融機関によって異なります。記録が消えれば新たにローンやクレジットカードを作ることが可能です。
なお、携帯電話料金の滞納による携帯ブラックリストは、滞納している料金の支払いによって消すことができます。詳しくは以下の記事で解説しているので、携帯料金を滞納中の人はぜひ参考にしてみてください。
ブラックリストに載っていると携帯電話を分割購入できない?


ブラックリストに載ると、スマホの分割購入時の審査に通りにくくなります。基本的には、スマホの分割審査は難しいと考えておいた方がよいでしょう。一方、ブラックでも分割購入できたケースもいくつか報告されています。詳しくは以下の記事で解説しているのでチェックしてみてください。
後払いアプリで現金化して奨学金を支払うのはあり?


奨学金返済のために後払いアプリで現金化をするのは、違法ではありませんが、後払いアプリの利用規約違反に当たるケースがほとんどです。万が一発覚すると、後払いアプリの利用が停止される場合もあるため注意してください。
ペイディを例にした後払いアプリでの現金化のリスクは、以下の記事で紹介しています。気になる場合は参考にしてみてください。
ブラックリスト入りしていると後払いアプリは使えない?


ブラックリスト入りしていると、多くの後払いアプリでは審査に通らなくなる可能性があります。とくに、本人確認や信用情報をもとに利用可否を判断するタイプのアプリは、利用できないと考えたほうがよいでしょう。
一方、後払いアプリのなかには審査なしで利用できるものもあります。詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ブラックリスト入りしていると携帯電話は契約できない?


ブラックリストに載っていても、契約できるスマホはいくつかあります。ほぼ審査なしのサービスを利用すれば、問題なくスマホを契約できるでしょう。
ほぼ審査なしの格安SIMやスマホレンタルサービス、プリペイド携帯・プリペイドSIMについては、以下の記事でそれぞれ紹介しています。ぜひ一度チェックしてみてください。
ブラックで携帯電話を契約できない人にはサンシスコンがおすすめ


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