生活保護を不正受給するとどうなる?

収入や世帯人数を偽って生活保護を受給すると、不正受給と判断されてしまいます。不正受給が発覚すると、たとえ悪意があったわけではなくても保護費の返還を請求されたり、悪質な場合は詐欺罪で逮捕されるケースもあるため注意が必要です。

とはいえ、生活保護の不正受給にあたるパターンは複数あるため、「何をしたら生活保護の不正受給になるのかわからない」「生活保護を不正受給したらどうなるのか知りたい」といった声が上がっています。

そこで本記事では、どういうケースが生活保護の不正受給だと判断されるのか、不正受給をするとどうなってしまうのかなどを解説します。福祉事務所による調査方法や不正受給によって逮捕された事例にも触れるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

これを読めば、生活保護の不正受給とはどんなものなのかが理解でき、正しく保護費を受給するためのヒントが得られますよ。

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生活保護の不正受給にあたるケースとは?

生活保護は、主に申告すべきことを申告せずに受給を続けると不正受給となります。ここでは、生活保護の不正受給にあたるケースを4つ確認しておきましょう。

保護費以外の収入の未申告

収入を申告しなかった場合は?

保護費以外に福祉事務所に申告していない収入がある場合、生活保護の不正受給に該当します。

生活保護で支給される保護費は、住んでいる地域・世帯人数・年齢などに応じて国が定める最低生活費から収入を差し引いた金額です。例えば、最低生活費が13万円の場合、収入がなければ13万円が保護費として支給されます。月収が5万円あれば、最低生活費の13万円から収入を引いた8万円が支給額です。

もし、収入を申告してない場合、生活保護費13万円+収入5万円の計18万円となり、最低生活費の13万円以上のお金を得ていることになります。これは、生活保護を不正受給している状態です。

なお、住んでいる地域・世帯人数・年齢などに応じた最低生活費の計算方法については、以下の記事も参考にしてみてください。

▶生活保護の支給金額の計算方法を解説!最低生活費の計算シミュレーションも

保有している資産の未申告

保有資産の未申告

福祉事務所に申告していない資産の保有も、生活保護の不正受給に該当する場合があります。原則、生活保護世帯は資産の保有が認められていません。生活保護が保障するのは最低限の生活なので、資産は売却して生活費に充てるべきと考えられるためです。

もし、生活保護受給後に資産の保有が発覚した場合、不正受給としての処罰や受給した保護費の返還請求を受ける可能性があります。

届出をしていない人との同居

同居人がいるのに届出を出していない場合

福祉事務所に届出をしていない人との同居も、生活保護の不正受給に該当するケースのひとつです。生活保護の支給額は世帯の人数や収入などによって決まるため、同居人については正確に福祉事務所に申告しておく必要があります。

よくあるのは、母子家庭で申告していながら実際には内縁の夫や交際相手と同居しているケースです。夫や交際相手側に十分な収入がある場合が多く、不正受給とみなされてしまいます。

反社会的勢力の関係者の受給

反社会的勢力の関係者の場合

暴力団員など反社会的勢力の関係者は、生活保護を受給できません。反社会的勢力へ保護費が流れるのを防ぐためです。反社会的勢力との繋がりを隠して生活保護を受給すると、不正受給に該当します。

生活保護を不正受給するとどうなる?

生活保護の不正受給にはどんなリスクがあるのか確認しておきましょう。

不正受給分の返還が請求される

不正受給分を返還する必要がある

生活保護の不正受給が発覚した場合、不正に受給した分の保護費の返還を請求されます。例えば、未申告の収入が5か月分あった場合、返還請求されるのは5か月間の不正受給分(=収入分)です。収入の額が月10万円とすると、10万円×5か月分の計50万円の返還請求を受けることになります。

不正受給分の返還請求に関して、都道府県や市区町村は最大4割増での返還請求をすることが可能です。特に悪質なケースでは、4割増で返還請求される可能性があります。

指導や生活保護の変更・停止・廃止処分がある

指導が入ったり生活保護が停止される可能性がある

返還請求とは別に、福祉事務所から指導を受けたり、生活保護の変更・停止・廃止の処分を受けます。主に不正受給の悪質度によってどの処分になるかが決まります。

処分の種類
処分 内容
指導 最も軽い処分で、再発防止に向けて今後どうするべきかなどの指導を受ける
変更 実際の収入額に応じた保護費の金額変更などが行われる
停止
  • 生活に十分な収入があると認められ、一時的に保護費の支給が停止される
  • 失業などで収入が減ると、生活保護の受給を再開できる
廃止 悪質なケースで適用され、生活保護の支給資格が廃止される

悪質な場合は逮捕される場合がある

特に悪質なケースでは、生活保護法違反や詐欺罪などで逮捕される場合もあります。

不正な申告を繰り返していたり、返還請求に応じなかったりする場合、悪質な不正受給として自治体が警察署に告発します。この場合、生活保護法違反として罰則が課されるため注意が必要です。生活保護法違反の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。

詐欺罪は、生活保護の受給申請時に虚偽の申告書を作成・提出したり、世帯収入の変更を申告しなかったりして生活保護を不正受給する際に成立する可能性があります。

生活保護法には、「刑法の詐欺罪が成立する場合は、生活保護法違反でなく刑法上の詐欺罪で処分する」といった意味の記載があるため、条件を満たしていれば適用されるのは詐欺罪です。罰則は生活保護法違反よりも重い10年以下の懲役と定められています。

生活保護の不正受給で逮捕された事例

生活保護の不正時給による逮捕事例

生活保護の不正受給で逮捕された最近の事例としては、以下のようなものが挙げられます。長期間収入を隠して生活保護費を不正受給し、詐欺の疑いで逮捕された事例が多く確認できます。

  • 2019年埼玉県の事例:5年以上にわたり生活保護費を約1,400万円不正に受給したとして詐欺の疑いで逮捕
  • 2022年京都府の事例:収入を申告せず計19回生活保護費を不正受給したとして詐欺罪で逮捕
  • 2024年東京都の事例:1年半にわたって収入を申告せず、計220万円の生活保護費を不正受給したとして逮捕

生活保護の不正受給件数

不正受給件数

近年の生活保護の不正受給件数や金額は、公開されている厚生労働省の資料で確認できます。2011年から2020年にかけて不正受給の件数は減っているものの、年間の不正受給件数は3万件以上です。中でも収入を申告しないことによる不正受給が全体の半数ほどを占めています。

引用:厚生労働省 生活保護制度の現状について
生活保護の不正受給件数・金額の推移
年度 不正受給件数(件) 金額(千円) 1件当たりの金額(千円)
2011年 35,568 17,312,999 487
2012年 41,909 19,053,722 455
2013年 43,230 18,690,333 432
2014年 43,021 17,479,030 406
2015年 43,938 16,994,082 387
2016年 44,466 16,766,619 377
2017年 39,960 15,530,019 389
2018年 37,234 14,005,954 376
2019年 32,392 12,960,895 400
2020年 32,090 12,646,593 394

生活保護の不正受給が発覚する理由

生活保護の不正受給が発覚するのにはいくつか理由があります。

ケースワーカーの定期訪問による生活調査

ケースワーカーによる定期訪問

生活保護の受給中は、ケースワーカーによる定期的な自宅訪問があります。定期訪問の目的は、自立した生活に向けた生活状況の調査や受給者とのコミュニケーションです。同時に、申告していない同居人がいないか、収入・資産がないかなどもチェックされます。

自宅訪問時、不自然に裕福な生活をしている形跡があったり、未申告の同居人の存在が発覚したりすると、不正受給と判断されてしまいます。

課税調査

税務調査が入る

生活保護費の不正受給対策の一環として、課税調査が行われています。課税調査とは、事業者が従業員が住む市区町村に報告した収入額と、受給者が申告している収入額を比較するものです。収入額に差がある場合はより詳細な調査が行われ、未申告の収入があると発覚したら不正受給だと判断されます。

知人・隣人からの密告や報告

知人等からの密告・報告

知人や隣人からの密告も生活保護の不正受給が発覚する主な原因のひとつです。「生活保護を受給しているにも関わらず、裕福な暮らしをしている」「母子家庭として生活保護を受けているはずなのに、パートナーと同居している」などの密告があると、福祉事務所で詳細な調査が行われ、不正受給が発覚します。

生活保護を不正受給しないようにすべきこと

生活保護の受給に関するルールを理解していないと、悪意がなかったとしても不正受給してしまう可能性があります。不正受給をしないように気をつけるべきことを確認しておきましょう。

収入があった場合はすべて福祉事務所に申告する

収入は正しく正直に申告

生活保護受給中の収入については、すべて福祉事務所に申告しましょう。収入には、仕事で得たものだけでなく年金・養育費・仕送り・宝くじの当選金などあらゆるものが含まれます。保護費以外に世帯に入ってきたお金はすべて申告してください。

なお、仕事をして得た収入については「生活保護における勤労控除」が適用されます。勤労控除とは、働くのに必要な経費を補填し、勤労収入の一部を控除する仕組みです。生活保護費は最低生活費から収入を差し引いた金額になりますが、差し引く収入のうち一定額が控除されます。

勤労控除の種類
種類 控除額 条件
基礎控除 上限額:月額33,190円(1級地) 勤労収入がある場合
特別控除 上限額:年額150,900円(1級地) 勤労収入がある場合
新規就労控除 基準額:月額10,300円 勤労開始から6か月間
未成年者控除 基準額:月額11,600円 未成年者が就労している場合
※上記に加えて必要経費として、通勤費や社会保険料などが控除される
未成年者が新規就労して1年間働いたときの控除額上限(1級地)
種類 計算式 控除額
基礎控除 33,190円×12か月 398,280円
特別控除 150,900円×1年 150,900円
新規就労控除 10,300円×6か月 61,800円
未成年者控除 11,600円×12か月 139,200円
合計 750,180円

働いている人よりも働いていない人の方が支給額が多くなり、受給者の就労意欲が低下するのを防ぐのも勤労控除の目的です。勤労控除による控除額は、居住地域などによって異なります。詳しくは、厚生労働省の「生活保護制度における勤労控除等について」も確認してください。

世帯人数に変更があった場合は福祉事務所に報告する

世帯人数が変わった場合は報告する

生活保護費は世帯人数によって変動します。子どもが独立して世帯を抜けた場合や、友人・パートナーと同居している場合など世帯人数が変わったときは、必ず福祉事務所に報告しましょう。世帯人数に応じて、正しい額の生活保護を支給してください。

生活保護を不正受給してしまった可能性があるときにすべきこと

不正受給してしまった場合の対応方法

生活保護を不正受給してしまった場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。生活保護の不正受給による刑事告訴は、悪質だと判断された場合です。弁護士に相談をして弁護してもらい、悪質性がないことを主張していけば、刑事告訴を回避できる可能性があります。

生活保護の不正受給に関するよくある質問

生活保護の不正受給に関するよくある質問とその回答を紹介します。

生活保護の不正受給の調査方法は?

生活保護の不正受給の調査は?

生活保護の申請には、不正受給を防止するためのさまざまな調査が行われます。実施される調査は以下のとおりです。

生活保護申請時の調査

  • 生活状況等を把握するための実地調査
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者による扶養の可否の調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

具体的には「生活費に充てられる預貯金・資産・収入がないか」「援助してくれる人はいないか」「働いて収入が得られないか」などが調査されます。調査の結果、生活保護の受給条件を満たしていれば、生活保護の支給を受けられるようになります。

生活保護の受給開始後の調査方法は、ケースワーカーによる定期的な自宅訪問です。自宅訪問時に生活環境の変化が確認されると、上記のような詳細な調査が再度行われる可能性があります。

生活保護の受給中はどこまで監視される?

生活保護受給中はどこまで監視される?

生活保護の受給中も、ケースワーカーから常に監視されるということはありません。基本的には、定期的な自宅訪問を通して生活状況を調査されるだけです。ただし、生活調査で不自然な点が見つかれば、収入や預貯金などが調査されます。

生活保護の受給中にしてはいけないことは?

生活保護受給中にしてはいけないことは?

生活保護の受給中にしてはいけないのは、生活状況の変化をケースワーカーに報告しないことです。収入や世帯人数に変化があったにも関わらず未申告のまま受給を続けると、不正受給と見なされる可能性があります。生活状況に変化があったら、必ずケースワーカーに報告しましょう。

また、生活保護で支給されたものを第三者に譲渡するのもNGです。生活保護は、生活に困窮していると判断された世帯にのみ支給されるものなので、他人に渡さないようにしましょう。

ほかには、生活必需品ではない高価なものを持ったり、借金・ローンの返済に生活保護費を充てたりするのも認められていません。詳しい注意事項は以下の記事でも解説しているので、一度チェックしてみてください。

▶生活保護の受給条件や申請方法、金額について解説!持てないものやデメリットも紹介

生活保護から抜け出す人の割合は?

生活保護から自立する割合は?

厚生労働省の「令和3年度被保護者調査 月次調査(確定値) 結果の概要」によると、2021年度の被保護世帯数(1か月平均)は1,633,767世帯で、同年度に保護が廃止された世帯数は16,848世帯です。つまり、被保護世帯のうち約1%の世帯が生活保護の受給を廃止しています。

生活保護の受給を廃止した世帯のうち、世帯員が働いて収入を得たことで生活保護を抜け出したのは14.5%です。したがって、自力で収入を得ることで生活保護を抜け出した世帯は、被保護世帯全体の0.15%ほどしかありません。

これには、被保護世帯の半数以上が高齢者世帯であることも影響しています。65歳以上の年金受給世帯は、働いて十分な収入を得ることで生活保護を抜け出すのは難しいといわれています。

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